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「司法記者」の憂鬱 [本]

司法記者 (講談社文庫)
由良秀之著「司法記者」

結局,先に読んでしまった。由良秀之著「司法記者」。先日までWOWOWで放送していたドラマ,「トクソウ」の原作本である。

著者の由良氏は,小沢一郎の陸山会事件で話題になった,郷原信郎氏のペンネームである。はっきり言って,ストーリー構成も小説としての文章力も稚拙で,イラッとすることもあったが,小説家が本業でないので仕方ないだろう。そもそも,この作品の価値はそんなところにあるのではない。元東京地検特捜部に所属していたこともある著者が,特捜部の実態を赤裸々に描いたところが重要なのだ。勿論,元特捜検事だからといって,小説である以上,全てが事実である保証はない。しかし,本職ではない著者が,敢えて小説という形態で作品を発表するということは,常日頃の主張を,一般読者に分かりやすく伝えたいという意図があると考えて間違いない。そういう意味で,この本を手に取る人には,単なるフィクションではないことを念頭において読んで頂きたいものである。

とは言え,私にとっては,本書の内容は特に驚きを感じるものではなかった。検察のような上命下服が徹底された組織では,上が腐れば全体が腐るのは当然のことだ。そして,1回腐ってしまった組織に,自浄作用は働かない。つまり構造的な問題を孕んでいるのである。これは裁判所や警察,防衛省でも同じだ。そして,本来はそうした組織のあり方を監視する立場にあるはずのマスコミは,情報をもらうために癒着してしまっているから,全く機能しない。司法記者クラブとか,馬鹿げた話である。こんな連中が,エリート意識を持っているのだとしたら,自己満足も甚だしい。

自浄作用が働かないのだから,市民が圧力をかけるほかない。しかし,市民はこういう問題に極めて無関心である。慎ましく暮らしている,善良な一般市民には関係ないことと思い込んでいるからだ。これぞ衆愚の極みである。

結局のところ,現状の組織の中で上手く立ち回り,晴れてトップに立ったら,偽りの仮面を脱ぎ捨て,一大改革を敢行する...みたいなスーパー・ヒーローでも登場しないと,日本は変わることが出来ないのだろうか。それまた,望み薄そうな話である。


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