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勝っても面白くないヘビー級 [スポーツ観戦]

日曜の早朝に,WOWOWで放映されていた,ウラジミール・クリチコの試合。さすがに朝5時なんて起きられないので,録画で観戦した。対戦相手は,五輪金メダリストで現WBA正規王者(ウラジミールはWBAのスーパー・チャンピオン)のポベトキン。これまで26戦全勝で来たとあって,クリチコ兄弟の牙城を崩せるかと期待されていた。

しかし,結果は案の定,ウラジミールの圧勝。KOこそ出来なかったものの,7Rの3回のダウンを含めて,4回のダウンを奪った。判定は3者ともに119-104。ウラジミールの「-1」は減点によるものなので,実質全ラウンド10ポイントのフルマークである。

クリチコ兄弟を応援している立場から言えば,喜ばしいことなのだが,なんだかちょっと物足りない。それはウラジミールの戦い方のスタイルにある。以前,序盤からパンチを振り回した挙げ句,ガス欠になって負けてしまった教訓から,基本的に体力温存で無理をしないスタイルに変わってしまったのだ。終始長い左を真っ直ぐ突き出しているので,相手は距離を縮められない。距離を縮められなければパンチが当たらないから,相手はダメージを与えられない。一方のウラジミールは,突き出した左から,時おりジャブを出す。軽く見えるジャブだが,ウラジミールのジャブはかなりの威力がある。それで相手には徐々にダメージが蓄積し,ふと隙を見せたところに強烈な右が飛んでくる。まさに盤石。ウラジミールより大きくてリーチの長い相手が出て来ないことには,どうやっても対抗できないだろう。全盛期のマイク・タイソンほどのスピードとパンチ力があれば,一瞬で潜り込んで,一発で倒す,ということも不可能ではないかもしれないが,あれほどの選手は結局あれ以来現れない。

今のウラジミールのスタイルなら,KOは出来なくても,ポイントで負けることはない。何しろ,相手は有効なパンチを当てられないのだから。だから無理をしない。巨額のファイト・マネーが動くヘビー級のタイトル・マッチであればこそ,チャンピオンにしてみれば,ベルトを守ることこそが再優先だ。ウラジミールのスタイルは,そのために完成された必勝スタイルと言えるかもしれない。

しかし,そもそもなんでボクシング,特にヘビー級の試合を観るようになったのかというと,圧倒的に強かったマイク・タイソンがきっかけなのである。1発のパンチで,屈強な大男が吹っ飛んでいく驚き。マンガでも映画でもなくて,それが現実に起きている。本当に衝撃的だった。これを観て,ボクシングは凄いスポーツだと思うようになったのだ。まして,タイソンは背が低かった。自分より一回りも二回りもでかい,見上げるような相手を,一瞬で吹っ飛ばしていたのだ。

ウラジミールは強いし,身体もでかい。まともに当たれば,相手が吹っ飛んでいくほどのパンチを持っている。でも,そんなものを出さなくても勝ってしまう。無理をして倒し切れず,息切れして負けてしまうリスクを負う必然性がない。しかし,観客としては,観たいものを観ることができないフラストレーションが残る。ただ勝つのを観たいわけではなくて,圧倒的なパンチでKOするところが観たいのに。

そういう意味では,今やクリチコ兄弟の試合より,山中の試合の方が面白い。ウラジミールに対抗できそうなのは,もはや兄のビタリくらいしかいないのだろうか。と言っても,兄弟対決なんて有り得ないから,彼らが引退するまで,もう面白いヘビー級の試合は観られないのかもしれない。なんだか複雑な気分である。


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